また、黒字転換といっても日産は無配に転落しており、株主に対していつ復配できるのかも課題だ。特に日産の配当が大きな収益源である親会社の仏ルノーとの関係も含めて、三菱を含めた3社の国際連合の枠組みを今後も維持していけるのかといった経営課題も抱えている。

 ただ、今回のNissan Ambition 2030の長期ビジョンは、日産が長期的な視点に立った成長戦略を提示することで、日産の復活を示し、日産の社内、販売会社、取引先サプライヤーのモチベーションアップを狙ったものでもある。「技術の日産」を標榜し続けていくために、また電動化戦略をはじめ先進技術のリーダーとしてあり続けるために、この長期ビジョンの中でも3000人のエンジニア採用計画を示している。21年は、日産ノート/ノートオーラがCOTY、RJC、日本自動車殿堂の3つのカーオブザイヤー全てを独占したことも追い風といえよう。

 ぜひとも、今回のNissan Ambition 2030が絵に描いた餅にならぬよう、日産の本格復活を願っている。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)