大都市圏で感染爆発しても地方企業では働かない?「Uターン転職」が進まない理由Photo:PIXTA

意外と鈍い地方企業の採用意欲
逆に大都市圏が人材を吸い上げる!?

 新型コロナウイルスの感染拡大でビジネス環境は大きく変化しました。中でもインパクトが大きかったものの一つがリモートワークの普及です。ホワイトカラー職種ではオフィスに通勤しなくても自宅や自分の好きな場所で仕事ができるようになり、働く場所の制約が著しく低減されました。

 これにより大都市圏から地方への流れが加速し、各地の企業が大都市圏で働く人材、特に読者の皆さまに多い幹部クラスの優秀な人材を積極的に採用する動きが強まるのではないか、と予想した人は少なくなかったと思います。グループ会社でUターン、Iターン転職支援サービスを手掛けているわれわれも当然、そうした期待を持っていました。

 しかし現時点においては、地方企業の幹部クラス人材へのニーズは根強くあるものの、どんどん採用が増えている状況ではありません。

 その理由の一つと思われるのは、地方では大都市圏ほどリモートワークが普及していないことが挙げられます。国土交通省の「令和2年度テレワーク人口実態調査」によると、2020年度の雇用型就業者に占めるテレワーカーの割合は首都圏が34.1%なのに対し、地方都市圏では16.2%と大差がついています。

 実際、われわれと候補者との面談はリモートで実施することが多いですが、企業側からはリアルでの面接や打ち合わせを希望されることが多いです。

 地方都市圏でテレワーカーの割合が少ないのは、もともと地方では自動車通勤が多く、大都市圏のように不特定多数の人たちと電車に乗らずに済み、仕事終わりの飲み会も少ないという事情があります。またDXに対する危機感は持っていてもまだ漠然としており、具体的な取り組みまで落とし込めていない、といった状況もあるのでしょう。

 ただ一方では、首都圏の企業が地方の人材を採用する事例が目に付くようになってきました。このパターンが起こりやすいのは、やはりIT系の職種です。