柚餅子総本家中浦屋
石川県輪島市の柚餅子総本家中浦屋では、リモート副業人材を受け入れて、新たな取り組みを始めている 写真提供:柚餅子総本家中浦屋

地方の中小企業ではなじみが薄かった副業・兼業だが、慢性的な人材不足に加え、政府・自治体の施策やテレワーク率の向上などをきっかけに、副業人材の活用が始まっている。旧来型の地方企業が都市部の若手副業人材を生かすコツについて、石川県輪島市の老舗菓子店・柚餅子(ゆべし)総本家中浦屋の事例から読み解く。(ライター ムコハタワカコ)

中小・地方にも広がる
副業・兼業人材の受け入れ、活用

 今、都市部で本業を持ちながら副業・兼業で地方企業の成長にも貢献できる「ふるさと副業」と呼ばれる働き方に注目が集まっている。

 政府が「働き方改革」の具体的な実現を目指して2017年3月に発表した「働き方改革実行計画」では、柔軟な働き方の一つとして副業・兼業の普及促進をうたっている。これを踏まえて厚生労働省からは「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が示され、副業・兼業についての規定を加えた「モデル就業規則」も公開された。

 こうした動きにまず大企業が呼応して、副業解禁の流れはここ数年で加速している。中小企業でもその後を追うように副業容認の動きが出ており、中小企業の25%が副業・兼業を認めているという調査結果もある(「中小企業の『副業・兼業』実態調査」2019年9月エン・ジャパン)。

 このトレンドをさらに後押ししているのが、コロナ禍だ。テレワーク率の向上や、仕事・キャリアへの不安などから副業への関心は高まっている。企業側も、飲食サービス業や宿泊業などコロナ禍でダメージを受けた業界を中心に、従業員の収入源が少しでも確保できるならと、副業容認への意識変革が進んだ。

 また地方では、そもそも慢性的な人手不足に悩んできた。これを解消する手段として、副業・兼業人材の受け入れを真剣に検討する企業が出てきている。

 石川県輪島市で明治43年の創業以来、和菓子を中心とした食品の製造・販売を営む、柚餅子(ゆべし)総本家中浦屋も、都市部の副業人材が活躍する場を設け、2020年11月から受け入れを始めた企業の一つだ。

 ただし、中浦屋もご多分に漏れず、新型コロナの影響による観光客の激減が理由で、一時は売り上げを大きく落とした。その中浦屋がなぜ、都会の副業人材受け入れを考えるようになったのか。また副業人材はどのように活躍し、どんな成果が上がりつつあるのか。柚餅子総本家中浦屋の中浦政克社長に話を聞いた。