22年3月期の業績を2期連続の最終赤字予想へと下方修正した東日本旅客鉄道(JR東日本)は、長期的なコスト構造改革で鉄道料金・運賃の在り方を変えていく。オフピーク利用を促す仕組みに本腰を入れ、そこから非鉄道のビジネスチャンスも拡大する。特集『総予測2022』の本稿では、東日本旅客鉄道(JR東日本)の深澤祐二社長に今後の経営戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
大雨だった2021年
22年は「雨が降ったりやんだり」
――2022年の鉄道業界を天気予報で例えると?
21年は大雨。今は雨ぐらいかな。22年は、雨が降ったりやんだりじゃないですかね。
新型コロナウイルスの感染拡大で、人々の移動に対する警戒感がかなり染み渡っています。1987年の国鉄民営化以来30年余り、首都圏の鉄道利用はずっと伸びていたのにコロナ禍で減少に転じた。
コロナが怖いからということで自動車利用が増えているんです。公共交通の利用を増やすのは、国にとっても国民経済的にもカーボンニュートラルにもプラスなのに。
3密を避けるサービスを提供しなければならないが、ダイヤを密にする余裕もない。だとしたら、鉄道利用の時間帯を分散していただく施策をやっていかないと。この手の(移動のトレンド)の流れはいったん動くとね、元には戻らないんですよ。
――黒字見通しから一転、2期連続の最終赤字へ下方修正しました。どのような策を打ちますか。
この2年は短期的な対症療法の終始したコストダウンが多かった。これはそんなに長くはやれない部分もあって、抜本的な構造改革をしなくちゃいけません。