総予測2022#銀行Photo by Takahiro Tanoue

2022年の銀行業界も、低金利環境がもたらす構造不況という長いトンネルを抜け出せないままだ。そんな中で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は純利益1兆円の大台に突入し、メガバンクで「1強」の座を築こうとしている。特集『総予測2022』の本稿では、三菱UFJFGが繰り広げる王座安定のための“切り札”を示すと共に、地方銀行で相次ぐ「持ち株会社設立」の動きから再編の絵姿を予想する。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

3メガバンクグループは揃って業績好調も
「純利益1兆円」の三菱UFJが頭一つ抜け出す

 2022年も構造不況から抜け出せない銀行業界は、新たな飯の種探しに奔走することになる。特に地方銀行は、会社の姿そのものを大改造する一年となるだろう。

 まず、3メガバンクグループを見ると、確かに決算は好調ぶりを見せている。

 3メガいずれも、22年3月期の業績予想では前年より回復する。個人向けの資産運用ビジネスの収益が伸びたこともあるが、それ以上に、政府支援を受けて、企業の倒産件数が異例の低水準に収まっていることが主因だ。

 ただし、そろって倒産件数の低さに助けられているだけではない。業績面では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は3メガの中で頭一つ抜け出している。

 三菱UFJFGは、22年3月期に、過去最高益となる1兆500億円の純利益予想を打ち立てた。24年3月期までの中期経営計画で掲げた1兆円目標に、早々に到達する見通しだ。

 さらに、三菱UFJFGは手を緩めない。今、3メガに求められていることは、次の投資先に他ならない。

 22年は、三菱UFJFGが「メガ1強」の座を盤石とする元年になりそうだ。なぜなら、メガの中で群を抜く投資余力と、他の2メガを引き離すための攻めの“切り札”があるからだ。

 以降では、三菱UFJFGの切り札を提示すると共に、22年の地銀再編のトレンドを紹介する。