保険ラボ

DX開発・導入競争が勃発
三井住友海上の広告に業界騒然

 大手損害保険会社3グループの間で、「デジタルトランスフォーメーション(DX)開発・導入競争」の熱い戦いが続いている。中でも、代理店営業支援システムの分野は今、最も熱を帯びている分野だろう。

「『MS1 Brain』の広告は JR中央線の車内でも見ましたよ。代理店システムの訴求に、あれだけの予算を割くとは脱帽ですね……」(大手損保関係者)

 MS&ADの三井住友海上はこの春、MS1 BrainについてのテレビCMや電車内の広告を大々的に出稿。業界内で話題となった。

「MS1 Brain」は三井住友海上火災が2020年2月から導入を進めた代理店営業支援システムだ。21年2月にはスマートフォンで操作できる「MS1 Brainリモート」をリリースしており、三井住友海上はグループ3社の中で開発・導入の動き出しが最も早かった。

 同じMS&ADグループのあいおいニッセイ同和損保も、導入して効果が見込める代理店には導入について前向きに検討する方向だ。

 三井住友海上が先行する背景には、MS1 Brainの開発と導入が、21年4月に就任した舩曵真一郎社長の肝煎りプロジェクトとして進んでいたことが大きい。

 舩曵社長は4月の就任直前の取材で次のように話している。

「保険会社は、基本的に紙の仕事。MS1 Brainの導入で申込書、証券、約款、ご案内書、これらの紙をなくしてペーパーレスにしていきたいと考えています。お客様にご提供できる情報の整理と分析を進めて利便性を向上させ、さらに代理店も含めた全体の業務量を最適化します。全部で200億円以上の投資をしました。お金をかけたわけですし、これからしっかりと使っていきます」

 こうした発言を含めて、三井住友海上の動きは業界内を刺激し続けている。触発されたのか、代理店営業支援システムにおいてはSOMPOも東京海上日動火災も、三井住友海上に追い付けとばかりに開発を急いでいる。