新体制で赤字脱却を目指す
課題は入場料収入

 クラブの収入に当たる営業収益で、FC東京は19年度に56億3500万円を計上している。クラブが長く目標に掲げてきた50億円を大きく超えた中で、IT技術やノウハウで若い世代や新しい顧客を開拓したミクシィへ大金社長も感謝の思いを語る。

「それまでのFC東京ができなかった、新しい価値を作っていただいた。この4年間でクラブとクラブを支えるスポンサー、そしてミクシィさんとの間に絆が生まれた」

 しかし、コロナ禍に見舞われた昨年度において、FC東京も例外なく大幅な減収を余儀なくされた。営業収益が45億8800万円に激減し、当期純利益に至ってはマイナス3億2500万円と、12年ぶりとなる単年度赤字を計上した。

 今年度決算も単年度赤字が不可避な状況で、来年2月1日付で東京フットボールクラブの新社長に、東京ガス出身者以外で初めて就任するミクシィの川岸滋也スポーツ事業部長は、従来の経営体制を見直さなければいけなかったと振り返る。

「昨今の状況に鑑みたときに、中核企業のどこかが一定のリード役を務める必要があるのではないか、という共通認識ができあがっていった。さまざまな議論が積み重ねられてきた中で、今回の発表に至った形で承認をいただいた」

 新体制でまず求められるのは赤字からの脱却だ。各種収入の中でも、入場料収入を立て直さなければ話は始まらない。入場料収入は、19年度の11億400万円から、昨年度には3億1400万円と大幅に減り、今年度もほぼ同じレベルで推移していると見られている。

 リーグ戦における平均入場者数で、19年シーズンのFC東京は歴代最多となる3万1540人をマークした。一転してコロナ禍で収容人員の上限が設けられた20年シーズンは5913人に激減し、21年シーズンも7139人にとどまった。

 22年シーズンからは収容率100%での開催が決まっているが、オミクロン株が再び状況を変えるおそれもある。ただ、予定通り100%開催となっても、19年シーズンの光景がすぐによみがえるかどうかは、ピッチ上の結果とも密接にリンクしてくる。