今シーズンの戦力では心もとないが、
コロナ禍で補強が見通せない

 19年シーズンのFC東京は、圧巻のプレーを見せ続けたMF久保建英(現マジョルカ)にけん引される形で、序盤戦から首位を快走した。久保のスペイン移籍後はやや失速したものの、最終的にはクラブ史上で最高位の2位でフィニッシュした。

 チームが強ければファン・サポーターを引きつける。その意味では上位争いに絡むことなくリーグ戦で9位に甘んじ、連覇を狙ったYBCルヴァンカップは準決勝で、天皇杯では初戦の2回戦で順天堂大に敗れた21年シーズンの戦力では心もとない。

 都内で21年12月10日に行われた記者会見では、こんな質問が飛んだ。

「新体制の象徴となるような、アッと驚く補強はあるのか」

 川岸次期社長は、スペイン出身のアルベル・プッチ・オルトネダ新監督の名前を挙げた上で、こう語るにとどめている。

「具体的なことは申し上げられないが、アルベル監督とすり合わせながら強化編成は進めているところなので、その中で発表できることがあるかと思っている」

 オミクロン株に対する防疫対策として、政府は11月30日から全世界を対象として外国人の新規入国を原則禁止にした。当初は1カ月とされた禁止期間も、ここにきて延長は避けられないとする見方が政府内に出てきていると報じられた。

 例えば、“超”のつく大物外国人選手を新たに獲得しても、来日するめどが立たないまま2月下旬予定の開幕に間に合わなくなる可能性が小さくない。他の質問に対する答えでも、先を見通せない状況が川岸次期社長の歯切れを悪くさせた。

 それでも川岸次期社長は、クラブ経営の規模感に対してはこう言及している。

「J1クラブの上位の事業規模というところに伍していく。もしくはそのトップラインに並んでいく、というところをまずはマイルストーンとして置いていきたい」