成長のために必要な
弱点との向き合い方

 スポーツをしていると、自分の弱点と向き合わざるを得ないことが多々ある。体力がなくて疲れやすい、筋力が低くてパワーに欠ける、本番に向けてコンディションを調整できないなど、悩みが尽きない人もいるだろう。

 確かに弱点を放置していると、試合での勝利や自己記録の更新など、目標から遠ざかるばかりだ。しかし弱点ばかりに目が行くのもいけない。メンタルが落ち込み、成長につながらなくなる恐れがある。

「メンバーにとって、欠点を指摘され続けることほど苦痛なことはない。そこには触れてほしくない、というのが人間の本音である。欠点を指摘するだけのリーダーは、悲観主義のメンバーを量産するハメになる」(『岡田監督 信念のリーダーシップ 勝てる組織をどうつくるか』より)

 同書によると、心理学者のマーティン・セリグマンはメジャーリーグで調査を実施し、楽観主義な選手が多いチームは成績が良いこと、楽観的な監督が選手を楽観的にすることを報告している。

 セルフコーチングする際も、弱点を責めるような向き合い方をするのはお勧めできない。「この弱点を克服すれば、もっと強い自分になる」「弱点もあるけれど、強みもある」というように、弱点を起点としてポジティブ思考につなげることで、大きな成長が見込めるだろう。

試合やレースの結果に
一喜一憂するメンタルへの対処法

 練習やトレーニングの成果を発揮するのが、試合やレースなどの本番だ。だが、思うように力を発揮できなかった場合、メンタルの調子を崩す人もいる。

 もしも結果に一喜一憂する自覚があるなら、本番前のイメージトレーニングを改善してみるのもお勧めだ。

「スポーツ心理学のルールに『最高の自分をイメージする』というテクニックがある。これはとても大切なことだが、一方で現実を認識しておく必要もある。成功のシーンを描いているときは幸福感に満ち溢れる。しかし、かりに敗北を喫して、その落差にショックを受けてしまうと、次の行動で足がすくんでしまい、ますます状況を悪くしてしまう」(『岡田監督 信念のリーダーシップ 勝てる組織をどうつくるか』より)