失敗のシーンを頭に描いておくメリットは、事前に対策を練ることができる点だ。たとえばスタミナ切れが不安なら、本番前の栄養補給や休息を念入りにするはずだ。

 実際に失敗してしまったとしても、悲観することはない。岡田氏はポジティブな楽観思考でチームを励ましつつ、失敗体験から学ぶことも重視している。失敗から弱点を発見し、克服へのプランを考えることが重要なのだ。

自分自身がコーチとなり
自分の弱点を克服する

 また、同書では心理学者ワイナーの「原因帰属理論」の考え方を基に、結果の受け止め方についてこう触れている。

「人間が結果の原因を求めるとき、主に4つの要素に集約される。それらは『運』『努力』『課題の難しさ』そして『能力』である。うまくいったとき、『運』よりも『努力』のせいにしたほうが自信がつく。反対にうまくいかなかったとき、『能力のなさ』よりも『課題が難しかった』という理由にしたほうが落ち込みが少ない」(『岡田監督 信念のリーダーシップ 勝てる組織をどうつくるか』より)

 満足できる結果を得られた場合、自分の努力が実を結んだと考えていい。反対に残念な結果に終わった場合は、自分の能力を責めるのではなく、天候などの状況や条件など課題が難しかったと考えるのがお勧めだ。

 どんなスポーツでも、自分の弱点と向き合う時間は必要になる。目標に向かって成長するには自分自身がコーチとなり、自己の弱点を克服することがポイントになるだろう。

【参考書籍】

『岡田監督 信念のリーダーシップ 勝てる組織をどうつくるか』(児玉光雄著、ダイヤモンド社)