過去の買い値に影響されずに投資判断を

「500円で買った株が700円に値上がりしたのですが、どうしましょう」

　投資初心者はこのように質問する。この人はおそらく、「売って利益を確定しましょう」という答えが背中を押してくれるのを期待している。

「900円で買った株が700円に値下がりしたのですが、どうしましょう」といった質問も同様だ。「戻るのを待ちましょう」という答えが背中を押してくれるのを期待している。

　しかし、筆者の回答はこうだ。

「その株は値上がりすると思いますか？　今から株式投資を始めるとして、その銘柄を選びますか？　イエスなら持っていましょう。ノーなら売りましょう」

　株を買ったときの値段が何円であれ、値上がりしそうな株なら持っていれば良いし、値下がりしそうな株なら売れば良い。それだけのことだ。まして、自分がばかだと思いたくないから持っている、などというのは非合理としか言いようがない。

　本来であれば、毎朝持っている株を全部売って、新しく投資をすれば良い。そうすれば、もうかっている株や損している株がないので、冷静な判断ができるからだ。先刻売った株と同じ株を買う場合もあるだろうが、それで問題ない。

　実際にそんなことをすると手間もコストもかかるので、頭の中で全部売ったつもりになれば良い。新しく株を買うつもりになれば、過去の買い値に影響されずに投資判断が行える。