文在寅大統領との差別化で
若者の支持回復を模索する李在明氏

 一方、「共に民主党」の李在明氏は、大統領候補に選出された後、厳しい戦いを繰り広げてきたが、20代30代の支持を回復しつつある。その大きな要因は、文大統領の政策との差別化である。

 文大統領が昨年の総選挙で大勝する最大の要因となった「K防疫(韓国の新型コロナ感染予防対策)」の現状に対し、李在明氏は疑問を呈した。文大統領は、日常回復措置を止めることに最も消極的であったが、李在明氏は「総力対応を超える特段の対策を実行しなければならない。残念だが、日常回復措置をしばらく止めることが必要だ」として、文大統領の考えを否定した。

 また、新型コロナ感染対策で損害を被った人への補償が、文政権では不十分だったことを批判し、「何より距離確保の強化措置で、最も大きな被害を受けることになる小商工人・自営業者に対する『先に補償、先に支援』を施行しなければならない」と政府レベルの対応を求めた。このように文政権が最も自慢する「K防疫」からも距離を置きだしている。

 さらに、文政権が不動産政策で「失敗したのは明らかだ。大統領自身が謝罪するほどだった」と述べた。文政権成立後20数回も不動産政策を改訂しておきながら、ソウル市の不動産価格が倍増したことを批判し、不動産所有の夢を失った若者への配慮を示した。

 文政権との差別化は、文政権が重視し、李在明氏も基本的には同じ考えと思われる南北関係にも及んでいる。

 韓国新聞放送編集人協会の討論会で、李在明氏は南北関係について「守れないことは合意してはならず、合意すれば守らなければならないが、(南北)合意を守れなかった側面があるようだ」「文政権は最善を尽くしたと考えるが、私が不足していると思うのはそのようなところ」と述べた。

 さらに北朝鮮が20年6月に開城(ケソン)の南北連絡事務所を爆破したことへの文政権の対応について「こうした点では(私は文大統領とは)違うやり方をする。北に対して言うべきことは言う。屈辱的だという非難を受けないようしっかりやる」と述べた。

 李在明氏は文大統領に対する配慮を見せながらも、文大統領が最も重視する分野でも差別化を図っている。なかなか巧妙なやり方で、自らへの批判をかわしている。