現代の唯物論に近い発想をしていた
デモクリトス
万物の根源を追求した哲学者の最後にくるのは、デモクリトス(BC460頃-BC370頃)です。
年齢からいえば、彼はソクラテス(BC469頃-BC399)よりも、10年近く後の人物です。
彼は自然科学や倫理学、さらには数学や今日でいうところの一般教養も深く学んでいました。
そしてエジプト、ペルシャ、紅海地方、さらにはインドまで、学究の旅に出ました。
膨大な著作があったという記録が残されています。
デモクリトスは、アルケーはアトム(原子)であると考えました。
物質を細分化していくと、これ以上分割できない最小単位の粒子(アトム)となり、そのアトムが地球や惑星や太陽を構成していると考えました。
そしてアトムによって構成された物体と物体の間の空間は、空虚(ケノン)であると、考えました。すなわち真空であると。
彼は天上界を地上の世界と区別せず、そこもまた通常の物質世界であると喝破したのです。
すでに現代の唯物論(→本書149ページ)に近い発想が生まれていることに驚かされます。