台湾TSMC、米インテル、韓国サムスン電子をはじめとする世界の半導体メーカーの巨額投資は2022年も過去最高を更新するのが確実な情勢だ。さらに今後は、米旧フェイスブックの社名変更をきっかけに活況に沸くインターネット上の仮想空間「メタバース」が特需となって半導体市場をけん引する。特集『戦略物資 半導体&EV電池』の#3では、22年の各社の設備投資とビッグゲームの行方を大胆に予想する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
過去最高基調の半導体投資はどうなる?
2022年の設備投資額を独自予想
2022年は、前年比3割超となる400億~440億ドル(約4.6兆~5兆円)の設備投資を行う――。1月13日、半導体受託製造最大手の台湾TSMCが決算発表の中で掲げた強気な計画に、市場関係者がざわついた。
半導体市場の空前の高成長を背景に、半導体各社が巨額の設備投資に踏み切っている。英オムディアのデータによれば、21年の世界の半導体設備投資は20年比1割増となる1200億ドル(約13.8兆円)に達し、過去最高を記録するもようだ。
異次元ぶりを見せつける半導体投資だが、一方で懸念され始めているのがその反動だ。過熱した21年の大型投資は、今後の設備投資の“先食い”だけでなく、過度な増産による半導体の供給過剰へのリスクをはらんでいる。
実際にメモリーに関しては、21年に各社で大規模な投資が相次いだほか、主要製品であるDRAMの大口取引価格も秋以降下落傾向にあるなど、22年は早くも“調整期間”に入るのではと先行きを不安視する声も一部で上がっている。
22年の設備投資はどうなるのか、果たして半導体供給過剰の懸念は本当にないのか。
今回、ダイヤモンド編集部では、各種取材を基に22年の各社の設備投資の動向をいち早く予測するとともに、供給過剰リスクについても詳説する。