自動車、スマートフォン、産業機械など、あらゆる分野を巻き込んだ半導体不足。2022年に入っても自動車業界の減産は続いているが、果たして危機解消はいつになるのか。特集『戦略物資 半導体&EV電池』の#7で、実態をレポートする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
半導体不足の最悪期は脱したのか
それでも繰り返される“自動車減産”
再び自動車メーカーの減産ドミノが起きた。
1月20日、トヨタ自動車は、翌21~24日までの3日間に国内全14工場のうち最大12工場23ラインを停止すると発表。「カローラ」「クラウン」「ランドクルーザー」「ヤリス」などの生産に影響したとみられ、昨年12月の時点で2万台の見込みとしていた1月の国内減産規模は、4万7000台に達するという。
またホンダも1月20日、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)での2月上旬の乗用車の生産台数が当初計画より1割減産すると発表した。ホンダでは、1月に埼玉製作所の寄居工場(埼玉県寄居町)で減産したばかりのタイミングだった。
自動車の半導体不足は「2021年夏の最悪期は脱した」(トヨタ)とされるが、年が明けても減産の発表が途絶えない。特にトヨタは半導体の調達に自信を見せていたはずだったが、いまだに半導体不足が解消されないのはなぜなのか。
一方で、世界の半導体の生産が集中する台湾のTSMCが“異例の”車載用半導体の増産に乗り出したことから「半導体不足は22年後半に解消する」との見方も浮上している。
本当に解消の兆しはあるのか。複雑なサプライチェーン構造を解き明かすと、半導体不足の内情が見えてきた。