空力テクスチャー以外にも新型のエアロ対策は万全だ。トランクリッド後端のキックアップ形状は上面を流れる空気の剥離位置を最適化。ボディ下部からの流れとの合流部に発生する渦を小さくする効果があるというし、ボディ各部のアウトレットやスリット、アンダーカバー類も、Cd値や揚力の低減に効果を発揮する。新型の造形は、燃費や操縦安定性の向上に貢献する“意味あるデザイン”だ。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4670×1825×1465mm。従来比で全長が75mm長く、全幅は30mmワイド、全高は10mm低い。ホイールベースは25mm延長されて2675mm、前後輪のトレッドは30mmずつ拡幅されている。サイズアップは後席ニースペースの25mm拡大、前席カップルディスタンスの20mmワイド化、そしてトランク内ホイールハウス間幅の20mm大型化など居住性と荷物積載性の向上に充てられた。新型は、4ドアセダンとしてのパッケージングに磨きをかけた存在である。

 ボディは、現行インプレッサから採用が始まった“スバル・グローバルプラットフォーム”を採用。フルインナーフレームと構造用接着剤の拡大採用で一段と強靭に仕上げた。従来比でねじり剛性は28%向上、ねじり固有値は11%高いという。各部の作り込みは、レヴォーグと同様で、サスペンションやシャシー全般に対する考え方も、“レヴォーグのセダンバージョン”といえる。レヴォーグの完成度が高いだけに、期待が持てる。

新型は2.4Lに排気量拡大
スポーツCVTを採用

 従来型から大きく変更を受けたのはエンジンとトランスミッションだ。新型のパワーユニットは、北米用SUV、アセントなどに搭載されてきた2.4Lのターボ付き直噴4気筒ユニットがベース。スペックは275ps/5600rpm、375Nm/2000~4800rpmを発揮する。2Lターボだった旧型比で最高出力が25ps/最大トルクは25Nmマイルドになっているが、排気量拡大効果は大きく、実際の走行シーンでは確実にパワフルになっているという。トランスミッションは大幅改良版の8速マニュアルモード付きCVT。その名もスバル・パフォーマンストランスミッションである。「MTに匹敵する操る愉しみの実現」をテーマに、バリエーターやギアセットに大幅なリファインを実施。具体的には、変速比を拡大し高速巡航時の静粛性を高めるとともに、走行モードによってステップ変速制御を適用。さらに変速スピードをシャープにし、ダウンシフト時のブリッピング制御を組み込んだ。

 新しいWRXの最上級車、STIスポーツRとベーシックなGT-Hにサーキットで試乗した。