感染は関東や関西にも波及した。東京では昨年末から感染者数が増加傾向にあったが、年明け5日頃から1週間前の同じ日と比較して10~15倍もの急激な増加を始めた。12日には2000人、13日には昨年9月以来4カ月ぶりに3000人に達するなど、これまでをはるかに超えるスピードで感染が拡大している。

 昨年の第5波で猛威を振るったデルタ株と比べて、オミクロン株の感染力は2~4倍にもなる一方、重症化率は低いとの報告もある。実際、沖縄県では感染者の9割が軽症か無症状であり、いち早く感染が拡大した海外でも傾向は同様だという。

 ただ感染者の絶対数が増えれば、それに伴い重症者数も増加し、医療を逼迫(ひっぱく)する可能性はある。再び行動制限を伴い、経済にも大きな影響を及ぼす緊急事態宣言などの発出に踏み切るのか、政府は難しいかじ取りを迫られている。

鉄道利用が
昨秋から急回復

 昨年は東京都などで1月から9月までほとんどの期間、緊急事態宣言が発出された影響で、鉄道利用者は2020年に引き続き大幅に減少した。そのような中でも大手私鉄の多くは経費削減を進め、2021年度中間決算で黒字化を達成したが、依然として厳しいのがJR各社だ。

 例えば中間決算で約683億円の純損失を計上したJR東日本を見てみると、コロナ前の2019年度と比較した上半期の鉄道営業収入は、定期が約33%減、定期外のうち東京圏を中心とする近距離が約36%減だったのに対し、新幹線や特急など中長距離が約70%減と大きく落ち込んでいる。

 同社にとって新幹線は鉄道営業収入の3分の1を稼ぐ経営の柱であっただけに影響は甚大だ。この他、新幹線が鉄道営業収入の半分を占めていたJR西日本は約365億の純損失、9割を占めていたJR東海は約160億円の純損失を計上している。