それでは各社、どの程度利用が戻れば黒字化するのだろうか。各社が昨年発表した2021年度業績予想から推定をしてみたい。

 JR東日本は2020年度決算説明会で、2021年度業績予測について、連結で経常利益約250億円、純利益約360億円、単体で経常利益0円、純利益約250億円とする計画を発表した(感染拡大を受けて10月に連結で約1600億円の純損失へと下方修正)。当初計画では運輸収入を1兆4240億円としており、これは2019年度の運輸収入2兆610億円の8割程度の水準である。

 JR西日本は2021年度業績予想を連結で経常損失約50億円、純利益30億円と予想していた(7月に815~1165億円の純損失へと下方修正)。この前提として運輸業の営業収益約7072億円、営業損失約96億円としていることから、2019年度の8568億円に対して約8割程度の水準となる。

 JR東海は昨年7月に下方修正した業績予想の中で、単体の運輸収益を8200億円、純利益を120億円との見通しを示していた。これは2019年度の運輸収入1兆3656億円の6割程度の水準であり、ドル箱路線である東海道新幹線の収益性がJR東日本、西日本と比較して際立って高いことを示している。

 この他、例えばJR東日本は1800億円の経費削減を進めるとしており、実際の損益分岐点はさらに下がっていると思われるが、各社とも少なくともコロナ前の8割程度まで利用が回復すれば黒字に転じる可能性が高くなるといえるだろう。

 筆者は8~10日の3連休に北陸に取材に出かけたが、行きの北陸新幹線は指定席が満席で、帰りに利用した臨時列車もほとんど席が埋まっており、利用の回復を強く実感した。そうした中、冒頭に記した通りオミクロン株の感染拡大が懸念されている。光明が差しつつあった経営環境に再び雲が覆ってしまうのか。政府の対応が注目される。