セブンDX敗戦#7Photo:Flashpop/gettyimages

セブン&アイ・ホールディングスのデジタルトランスフォーメーション(DX)大号令で、DX部門は急膨張した。人員は1年で3倍超に膨れ上がったのだ。しかし、急速な権限の集中は統治不全を生み出し、社内の批判を浴びることになる。特集『セブンDX敗戦』(全15回)の#7では、内部資料を基に、DX部門のみならず、外部のITベンダーやコンサルまでも巻き込んだ、組織肥大の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)

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拡大したDX部門の権限
DX投資に規律の欠如!?

 セブン&アイ・ホールディングスは2020年4月にグループDX戦略本部を立ち上げ、トップにリクルート出身で執行役員だった米谷修氏を据えた。

 巨大グループのDX戦略の「司令塔」は、グループ横断によるセキュリティー強化や配送の効率化といった多岐にわたるDX施策を立案し、実行に移してきた。

 13万人もの従業員を抱える巨大なグループのDXを進めるという「錦の御旗」を掲げ、グループDX戦略本部は“権限”を拡大した。具体的には、予算と人員である。

 米谷氏が進めたDX戦略の柱は、自前でシステムを開発・運営する「内製化」である。それ故に、権限の急拡大は必然だった。しかしながら、それは強い副反応を生んだ。

「DX投資対象が成り行きで決定・採用されている」

 セブン&アイのDX戦略を評価・検証した内部資料が指摘するのは、そんな驚くべきありさまだった。短期間での急膨張が招いたのは、規律の欠如だったのだ。

 次ページでは内部資料を基に、グループDX戦略本部が握ったヒトとカネの“権限”の実態を解明。それによって生じた、外部のITベンダーやコンサルティング会社までも巻き込んだ「統治不全」についても明らかにしていく。