マスク越しの対話で説得力を増すための「目力」テクニックPhoto:PIXTA

博報堂フェローで、政治・行政・大手企業のスピーチライターでもあるひきたよしあき氏の新著『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』からの抜粋で、自分の思いを言葉にし、相手の心に届けるための対話のメソッドを伝授する。今回は、リモートやマスク越しでの対話で、いかに相手の心を動かせるかについて。

マスク越しだと
「目力」が特に重要

「コロナ禍で、子どもたちの目力が増しました」

 これは、都内の小学校の校長先生の言葉です。マスクで口が隠されています。だから、いくら口を「への字」に曲げても、とんがらせても誰にもわかってもらえない。そのぶん、目で気持ちを表現する子どもが増えたというのです。

 欧米人は、口元の動きで表情を読むことに長けています。しかし日本人は、昔から目で表情を読んできました。口元がマスクで隠れているからこそ、以前にも増して、コミュニケーションにおける「目力」が重要になってきているのです。

 広告会社で働いていたとき、CMの撮影に立ち会うと、カメラマンが撮影前のモデルやタレントさんに、よくこんな声をかけていました。

「一度、ギューーーッと目を閉じて、そしてパッと開いて。何回か続けてください」