東京電力の電気料金も、値上げが止まらない。1月分に続いて2月分も平均モデルで330円(7631円→7961円)も上がる。昨年2月から13カ月連続の値上がりで、昨年1月より1644円(6317円→7961円:上昇率26%)も高くなっている。

 昨年12月、物価高騰について知人女性と話をしたとき「スーパーで買い物をすると、ひとかご3000円くらいだったのが、いつのまにか5000円くらいになっている。値上がりのすごさを実感している」とおっしゃっていた。家計を預かる人は、昨年来の物価高騰に悲鳴を上げているだろう。

 実際、総務省の家計調査でも、消費支出が21年11月まで6カ月連続で実質減少となっている。同じコロナ禍であったが、消費者は一昨年より昨年の方が支出を抑えている。それだけ物価が高くなったので、消費を減らすという自己防衛をしているのだ。

 値上がりしているのは、小売価格だけではない。仕入れ原材料の高騰や経費の増大で、もちろん事業者も悲鳴を上げている。利益を削るにも限界がある。景気が悪いのに値上げをしなければならないということは、消費が今まで以上に冷え込んでしまう。まさに負の連鎖が起きているのだ。

物価上昇に加えて
円安が追い打ち

 さらに問題なのは、円安が進んでいることだ。対ドルの円相場は、1年前の1月は1ドル103円台だったが、現在は115円前後で推移している。なんと12円近い円安になっているのだ。これでは、輸入原材料の高騰に歯止めがかからない。

 自給率が低く輸入に頼っている食品の原材料はもちろんだが、石油や天然ガスなどの工業資源も多くは輸入に頼っている。円安が進めば、食品だけでなく工業製品等の原材料価格も高騰する。

 日銀の黒田総裁は、昨年12月の定例会見で、円安について「輸出の増加あるいは海外収益の拡大といったプラスの効果の方が、原材料コスト上昇によるマイナスの効果を上回っている」と述べている。

 しかし、それを実感できている国民は一部に限られるだろう。