武士全体の9割以上を占めていたという四十九石以下の下級武士たち。限られた収入の中、分相応の生活を営み、愉しんでいたという。週刊朝日ムック『歴史道 Vol.10』では、江戸三百藩の暮らしと仕事を解説。ここでは誕生、元服から家督相続、隠居まで武士の一生の行事を一挙紹介する。
上は将軍から、下は御家人などの下級武士に至るまで、武士は同じような行事や儀礼を経験しながら一生を送ったが、誕生からしばらくの間は祝い事が続くのが習いであった。生まれてから1年だけをみても、お七夜、御宮参り、お食い初めの行事と続いた。
当時は医療水準がまだまだ低く、乳幼児の死亡率は非常に高かった。家族にしてみると、無事生き続けたことをその都度祝いたい気持ちが強かった。よって、家族による祝い事が幼少期に連続したわけである。