住まい選びの大前提に「街選び」がある。生活する場所を選ぶわけだから、街選びで人生が変わると言っても過言ではない。できるなら、欲張って「これから伸びる街」を探したい。どこに着眼すれば、そんな街が選べるのか――街歩きの達人であり、不動産と経済に詳しいアナリストの増田悦佐氏に、コツを聞いてみた。
街の将来性を探るには
自分で歩くことが大事
1949年、東京都生まれ。一橋大学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程を修了後、ニューヨーク州立大学の助教授に。その後は外資系証券会社で建設・住宅・不動産担当アナリストを務める。主著に『新・東京圏 これから伸びる街』(PHP研究所)、『東京「進化」論』(朝日新書)など。ジパング経営戦略本部シニアアナリスト。20年以上をかけ、オフィス・住宅中心の複合再開発が着々と進む五反田─大崎エリア。目黒川沿いの親水性の高い街並みは、格好の散歩コース
住宅購入を考える人にとって、「どの街に住むか」というのは切実な問題だ。オフィスへのアクセスのよさや日常生活の利便性は外せない条件だし、大きな金額を支払うのだから、資産として考えたときにも価値のある街に住みたい。
しかもできれば割安な価格で……というのは、誰もが考えるところ。そこで重要なのが、「自分で街を歩いてみる」ことだ。
例えば駅前で大規模再開発が行われているエリアは、多くの新築物件が出やすいが、モデルルームを見るだけでなく、必ず歩いて街の雰囲気をつかみたい。
「再開発のすべてが悪いとは言わないが、派手な場所で大きな再開発をすればするほど、日常生活でその街を歩き回る人の視点からは離れていくことが多い。街は偶然の要素によって育っていくもの。最初にあまりつくりこんでしまい、遊びがないと、それ以上の発見や面白味のない街になりがち」(増田氏)