ポルシェと肩を並べるほどの
強靭なスポーツカー

タイプSは新デザインの専用鍛造アルミホイールを装着しワイドトレッド化。グリップ性能の高い専用タイヤと併せ、サーキットの限界性能とコントロール性をさらに高めているというタイプSは新デザインの専用鍛造アルミホイールを装着しワイドトレッド化。グリップ性能の高い専用タイヤと併せ、サーキットの限界性能とコントロール性をさらに高めているという

 私はこのタイプSに北海道のホンダ鷹栖テストコースで試乗しましたが、本当に舌を巻くほど素晴らしいスポーツカーでした。

 まず、速い!! 鷹栖テストコースは、過酷なことで知られるドイツ・ニュルブルクリンクのノルトシュライフェによく似た難コースですが、ホンダのテストドライバーが運転する先導車のNSXは、ここをとてつもないスピードで駆け抜けていきます。この手の試乗会には私もよく参加しますが、先導車(大抵は安全を見込んで8~9割のペースで走ってくれる)にまるで歯が立たなかったのは今回が初めてといってもいいくらい。途中のジャンピングスポットでは軽く車体が浮き上がるほか、見通しのいい部分では軽く200km/hを超えるスピードに到達しました。

 それでも、まったく姿勢を乱すことなく、安定しきったフォームで次々とコーナーを駆け抜けていくNSXの姿には度肝を抜かれました。しかも、何周走っても熱ダレすることはありません。これは、比較用に試乗した2代目の初期型NSXにもいえることですが、スポーツカーとしての強靱さにかけては、あのポルシェと肩を並べるくらいNSXが骨太なスポーツカーであることがわかりました。

 これには高い剛性のボディや足回りに始まって、高精度に組み上げられたエンジンや駆動系、さらには余裕ある冷却系などが不可欠です。たいていの自動車メーカーは高性能を実現するのに精一杯で、強靱さにまで配慮できるメーカーはそうそうありません。その意味で、NSXを作り上げたホンダの技術力は日本人の誇りといってもいいものです。