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M＆Aに成功する企業と
失敗する企業の違い
M＆Aの成功と失敗の事例研究は多いが、大半は単発のケースを扱っている。連続して他社を買収する企業の事例があっても、成功例ばかりが強調される。そのため、「失敗したM＆A」に関する体系的な原因分析はほとんどできていない。同じ買い手が何度M＆Aを実施しても、成功と失敗を繰り返すのはなぜか。同じ対象企業を買収しても、成功する買い手と失敗する買い手がいるのはなぜなのか。こうした疑問を解明するため、筆者は連続してM＆Aを実行した4社、計26件のM＆A事例を分析した。その結果、M＆Aの遂行能力を5段階に整理できた。M＆Aの成功には買収先の経営資源を適切に管理する能力が必要になるため、分析に当たっては、買い手の「組織能力」のレベルにも着目した（次ページ図表1）。
