先送りできない中国経済のリスクとは、顕在化すれば中国の「日本化」もPhoto:123RF

コロナ禍からいち早く回復

 2020年の世界経済は新型コロナウイルス感染症の流行により大きく落ち込んだが、感染症の発生源となった中国は感染抑制にいち早く成功、早期の経済回復を実現した。

 20年の実質GDP成長率を見ると、米国(前年比3.5%減)、日本(同4.7%減)、EU(同6.1%減)などの先進国・地域で軒並みマイナス成長を記録。世界全体でも前年比3.3%減となる一方、中国は同2.3%増と主要国・地域で唯一のプラス成長を達成した。21年も1~3月期は前年同期比18.3%増と過去最高の伸び率を記録し、中国経済は力強い成長が続く。

 先行きについても、新型コロナワクチンの普及が順調に進んでいることに加え、共産党建党100周年や来年の党大会など重要な政治日程を控え、財政・金融政策の下支えが期待できる。中国経済は堅調さを維持し、30年ごろまでにGDPの規模で米国を抜き、世界トップの座を奪うのは確実とみられる。

先送りが許されない中国経済のリスク

 一方、気になるリスクもある。

 過剰生産能力、過剰債務・不良債権問題、「国進民退(市場経済において国有企業が民間企業をしのぐ影響力を持つ現象)」、少子高齢化、所得格差などである。これらの構造問題に共通するのは、「問題解決を先送りし、経済の体質改善を怠ると、将来の成長力の低下をもたらす」という点だ。一時的に経済規模で米国を抜いても、中国が構造問題の解決を先送りすれば、さほど時を置かず米国に再逆転される可能性も小さくない。