「悪いインフレ・悪い円安」論は的外れ、日本経済に好ましいデフレ脱却とはデフレと円高は悪いものだから、デフレ脱却と円高阻止をスローガンにしてきたのに、円安が進んで、物価も上がりそうになると、これは悪いインフレ、悪い円安と言い出すのは、聞かされる側にしてみれば、ふざけた話だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

今のようなインフレは
一番ありうるシナリオ

 最近、「悪いインフレ(物価上昇)」という言葉がよく使われている。今のように、輸入物価の上昇が国内物価に転嫁されて起こるインフレは、悪いインフレの代表格のようだ。海外での原材料価格の高騰による輸入インフレは、交易条件を悪化させ、日本から所得を流出させるからだ。

 これに関連して、円に換算した輸入物価の上昇を加速させる円安も「悪い円安」と称され、悪者になってしまった。

 しかし、デフレと円高は悪いものだから、デフレ脱却と円高阻止をスローガンにしてきたのに、円安が進んで、物価も上がりそうになると、これは悪いインフレ、悪い円安と言い出すのは、聞かされる側にしてみれば、ふざけた話だ。

 今のようなインフレは、政府・日銀が想定していたものとは違うという意見もある。しかし、今の日本で物価が上がるとすれば、消費税率の引き上げを除けば、原油など資源価格の高騰や円の急落が起きた時だ。よい悪いは別にして、想定外ではなく、一番ありうるシナリオだったはずだ。