中国はかつての日本と同じ失敗を繰り返すべきではない

 日本は、かつてある民族を植民地化した。その人たちに日本語を使用させて、日本の神社を建ててそれを拝むように教育した。

 日本の植民地政策はその民族社会に「近代化」をもたらした。民族の教育水準が向上し、豊かになった側面がある。だが、その民族は、日本の近代化への貢献を認めることはない。独立して70年以上たっても、日本への恨みを決して忘れない。正常な国同士の関係を結ぶのが時に難しい。日本にとって、悩ましい状況が続いている。

 また、米国との対立についても、日本の経験を話す。かつて米国と決定的に対立し戦争に至り、大敗北を喫した。その後、日本は米国に「守られ、食べさせてもらう」ことで経済大国として復活した(第170回)。

 だが、政治的、経済的に対米従属を強いられる場面は今でも多い。日本は米国との関係において、散々な苦労を強いられてきた。

 中国は、このような日本の経験をよく知っている。

 私は、中国は本当の自信を持つべきだと言いたい。中国は経済的、軍事的に「大国」になった。中国との経済関係に多くの国が依存しており、中国の援助を受ける国も多い。普通であれば、ほとんどの国が中国を尊敬するはずだ。

 だから、中国はかつての日本と同じ失敗を繰り返すべきではないのだ。大国になったからこそ、さまざまな民族から永遠に恨まれるような愚を犯すべきではない。

 また、米国の力を決して侮ってはいけない。「世界の警察官」の座から降りようとして、「国益」しか考えなくなった米国は、「世界の暴力団」のように遠慮なくその力を使うようになった。むしろ過去最強だと考えるべきだ(第191回)。それは、ジョー・バイデン政権でも、何も変わらない。

 ところが、中国は「大国」であることを、必要以上にアピールしようとしている。意見の異なる国に「札束で頬をたたく」高圧的な態度を取る(第213回・p2)。その結果、多くの国が中国に「面従腹背」している。中国が、世界から本当に尊敬される「大国」ならば「寛容」になるべきだ。