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米企業でも株主より社会の利益を優先できる!?
「ベネフィット・コーポレーション」とは何か

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第225回】 2012年12月19日
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23ヵ国650社に広がる一方、
ビジネス界では多少の躊躇も

 会社法でベネフィット・コーポレーションの制定が行われた背景には、Bラボという非営利組織の運動がある。Bラボはスタンフォード大学の卒業生らが作った組織で、企業活動による社会貢献度を全方向的に審査する方法を確立した。Bラボが各州政府へも積極的に働きかけ、それが現在の法制定につながった。現在Bラボは、企業をベネフィット・コーポレーションと定める認定組織になっている。

 認定は、企業がBラボの設定した質問事項に答える方法で行われる。社内環境や素材調達などを含む幅広い項目で一定の基準を満たさなければならない。また、ベネフィット・コーポレーションの認定を受ける前に、約款を改訂したり、役員や株主から承認を得たりといったことも必要だ。

 Bラボによると、現在23ヵ国で650社がベネフィット・コーポレーションに認定されており、60業界に渡っているという。

 ベネフィット・コーポレーションの大きな波が起こるのはこれからだ。ただしビジネス界では多少の躊躇も見られる。ひとつには、Bラボという第三者組織が認定を行っていることに対する疑問がある。認定を公的でない組織が行い、しかもそのために費用がかかる。また、企業がマーケティングのためにベネフィット・コーポレーションという認定を利用するのではないかという見方もある。さらに、ベネフィット・コーポレーションは、大企業には向かないという声も出ている。アメリカ流の企業道からはほど遠いベネフィット・コーポレーションに、どれだけの会社が与するかどうかが、この国の未来を占う試金石になるだろう。

 ベネフィット・コーポレーションは、「第4セクター」と呼ばれている。まだ見えないことは多いが、企業のかたちに「別の方法」があるのではないかと提言した功績は大きい。これからの展開が注目される。

世論調査

質問1 日本にも「ベネフィット・コーポレーション」という企業カテゴリができるべきだと思う?



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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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