相手を選ぶことはお互いに必要だが、今後も付き合いたい相手との人間関係の継続のための努力はしておく方がいい。人生の上でもいいし、仕事の上でも助かることがある。

 筆者は、6社目までは辞めた会社の旧同僚との忘年会に毎年参加していた(7社目からは残念ながら記録が途絶えた)。転職歴は、幸い筆者の友人関係を豊かにしてくれたとの実感がある。元の会社の同僚で、「いい人」と付き合わないのはもったいない。

 なお、最近はインターネット上のコミュニケーションやSNSが発達して必要な連絡には困らなくなっている。しかし、退社後に掛かってきた電話の取り次ぎや、配達された郵便物の転送などに便宜を図ってくれる人物がいると心強い。

 一般論として言うなら、いわゆる庶務の担当者と仲良くしておくといいし、感謝の気持ちを込めて食事でも共にしておくといい。

転職後の5箇条(1)
自己アピールを控える

 転職後で気をつけたいことの筆頭に、自己アピールを含めて、自分に関する情報を出すことに慎重であるべきだという点を強調したい。筆者自身が、失敗した経験があるからだ。

 転職者は、新しい職場の人々に早く自分のことを理解してほしいという欲求を持つ。自分の性格や、得手不得手などが同僚に理解されていると楽だし、自分の価値観も早く伝えたいと思うことが多い。

 ところが、「自分は、○○のような人だ」とか、「過去にこのようなことがあった」とか、「自分は××のようなことが許せない」とか、「自分は△△のようなものが好きだ(嫌いだ)」とか、あるいは自分のプライベートな事情などを、相手の事情を把握せずに自分から言わない方がいい。結果的に余計な情報提供となって、新しい職場で早くも「居づらく」なる場合があるし、場の雰囲気がまずくなったり、警戒されたりする場合がある。