ポストコロナの新世界 メガプラットフォーマーPhoto:Bulgac, _human, egal/gettyimages

利用者数が億を超す「メガプラットフォーマー」への視線が厳しくなっている。プラットフォームを活用して稼ぐ利用者も増える一方で、悪用されるケースも後を絶たない。世界で20億人以上が視聴する米動画大手「ユーチューブ」はどうやって場の健全性を保っているのか。特集『ポストコロナの新世界』の#14では、米ユーチューブのナンバーツーであるニール・モーハンCPO(Chief Product Officer、最高製品責任者)を直撃し、誤情報への対策や低評価数を非公開にした理由を聞いた。(聞き手・ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

最優先事項はプラットフォームの健全性の保護
オープンプラットフォームの力を信じている

――ユーチューブの成長に伴い影響力が増しています。どのような方針で運用しているのですか。

YouTube No.2が明かす「低評価の数」を非公開にした理由Neal Mohan/1996年米スタンフォード大学卒業、2005年スタンフォード大学経営大学院MBA修了。米ネット広告会社ダブルクリックのシニアバイスプレジデントなどを歴任。08年の米グーグルによるダブルクリック買収以降はグーグルの広告部門のシニアバイスプレジデントなどを務め、15年から現職。 写真提供:Google

 われわれには3つの使命があります。一つ目は世界で20億人以上のユーチューブのユーザーに、最高の体験を提供すること。二つ目はユーチューブで収益を得る何百万人ものクリエイターのビジネスを支えること。三つ目はオープンなプラットフォームとしての場を担保することです。

 われわれが信じているのはオープンプラットフォームのパワー。オープンだからこそ、世界中の視聴者とクリエイターやアーティストをつなぐことができるのです。

 日本の月間利用者数(18歳以上)は、2021年5月に6900万人を超えました。そして日本のクリエイターであっても、世界を舞台に自らのブランドの構築やインフルエンサーになることができ、収益を得られます。まさにクリエイティブエコノミーです。

 オープンなプラットフォームの提供者には、もちろん責任がついて回ります。開かれた場を守るためには、きちんとしたゲートキーパー(門番)が必要です。

 ユーチューブを悪用しようとする“悪人”から、何十億人ものユーザーやクリエイターをどう守るのか。こうした健全なプラットフォームの保護は、過去4~5年のユーチューブの最優先事項でした。

 ユーチューブ上のほとんどのコンテンツやクリエイターは素晴らしい。有害なものは1%以下しかありません。それを排除するために日々努力をしています。

――プラットフォームの健全性を守るための施策は。