ものづくりの力と営業力の融合

 大畑氏の関わりによってハナビラタケの売り上げは大きく向上し、20年度には18年度の実に13倍となる2000万円を達成した。20年8月には、それまでの10倍の生産力を持つ新しい栽培拠点を造った。現在の目標は、その工場をフルに稼働させることだ。

「工場には月産6万パックの生産力がありますが、現在のところその半分程度しか稼働していません。僕が販路を拡大することによって、生産量拡大を支援したいと思っています」

幻のキノコで現実のマーケットをつくり出せ!

 短期的には静岡県内の販路を獲得し、中期的には東京や大阪などの飲食店需要を開拓する。さらに長期的には、豊洲市場からの輸出便にハナビラタケを乗せる、つまり海外展開を実現したいと大畑氏は言う。

「豊洲市場では、シイタケやマイタケなどメジャーなキノコ以外は“その他キノコ”という扱いになります。その多くは供給量に大きな波があるのです。その点、大井川電機のハナビラタケには安定供給ができるという強みがあります。この強みを生かせば、市場での存在感を確実に高めていけるはずです」

 大井川電機が半世紀以上にわたって培ってきたものづくりの力と、大畑氏が地方の農家支援の中で培ってきた営業力。その二つの力が融合したことによって、ハナビラタケの事業はついに軌道に乗った。それはまた、「シルバーパワー」と「孫スキル」の絶妙な融合でもあった。

(次回に続く)