ロシアによる「力の強制」
結局どこまで突き進むのか?

 これも、同じ論理で考えてよいでしょう。「敵が強すぎる」とロシアが思えないのなら、ロシアは強固な基盤を得るためにいっそう前に行くでしょう。

 つまり、ウクライナ西部に兵力を進めるでしょうし、バルト海沿岸のリトアニア、エストニア、ラトビアに対して軍事的威嚇を強めるかもしれません。

 NATOのストルテンベルグ事務総長は、ウクライナ軍に装備提供を強化すると発表しましたから、キエフを占領してしまえば、その先は止まるかもしれません。

 ただ、キエフでかいらい政権を作っておきながら、ウクライナの西側は放置するというのは、かなり奇妙な状況にはなります。朝鮮半島のような分断国家ができてしまいます。

 ロシアの行動に伴い、NATOはバルト海沿岸諸国における兵力を増強しています。こちらにはもう手を出せないでしょう。ですから、少なくとも短期的にロシアが進む限界領域は、ウクライナ全土、小さければキエフのゼレンスキー政権転覆までだろうと考えられます。

 一方、ロシアによるウクライナへの「力による強制」そのものが、ロシアにとって困難な状況を招いてしまうかもしれません。実は、そう考えるのに十分な理由があるのです。