前述のデスクも、記者が取材の過程で学識者から意見を聞いたり、公判の結果を受けてコメントをもらえるよう手配したりしているが、「前例がないから、どうなるか予想がつかない」という声が多いという。

 事件の主役であるゴーン被告は、08年に私的な投資で生じた損失約18億5000万円を日産に付け替えたほか、09年にはこの投資に関する信用保証で協力してもらったサウジアラビア人実業家の会社に、日産子会社から約12億8400万円を入金させたとして、会社法違反(特別背任)の罪でも起訴されている。

 19年12月にレバノンへの逃亡を手助けしたとして、犯人隠避の罪に問われた米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員と息子は昨年7月、実刑判決が確定した。

 ケリー被告だけでなく、さまざまな人物を振り回し続けてきたゴーン被告。公判が開かれる見通しはなく、もちろん判決が出る可能性もない。

 たとえ3日の判決でケリー被告が無罪となり、刑事責任について言及されなかったとしても、多くの関係者を裏切り、側近を見捨てて逃げたその「罪」は重い。