「時間」に対して高いコスト意識を持つ外資系企業にとって、複数のメンバーを拘束する会議はジャラジャラとお金が流れ出ていく感覚です。にもかかわらず、彼らが会議を開くのは、かけた時間コストとは比べものにならないほどの大きな効果を生み出すことができるからです。一方で、それができない人は、時代に即した仕事のあり方に適応できない人として淘汰(とうた)されていきます。日本と米国、両方の企業でのマネジメント経験をもとに、会議で組織成果を高めているマネジャーと、それができないマネジャーの違いについて解説します。(アークス&コーチング代表 櫻田 毅)
会議の改善策が「時間短縮だけ」になっている
マネジャーには何が足りないのか
外資系企業の仕事の原則は、「上質な決断と確実な実行を高速で繰り返す」ことです。特に、今のような不透明で正解のない時代においては、スピード感のある試行錯誤なしに最適解に到達することはできません。当然、会議も、そのための「加速装置」でなければなりません。
多くの日本企業は、会議の時間を短縮することに目を向けてきました。これは、これまで無駄なことに使っていた時間をそぎ落とすという点では意味があります。しかし、会議で本当に必要なことは、「上質な決断と確実な実行」を加速させるための質の高いアウトプットを生み出すことです。
それができているマネジャーは確実に成果を積み上げていきます。一方で、会議の時間をどれだけ短縮しても、質の低いアウトプットしか出せないマネジャーは成果を出せなくなっていきます。
会議の時間短縮は、それがルールだと言われれば誰にでもできますが、アウトプットの質を高めるためには「あること」が必要です。会議を仕事の加速装置にできているマネジャーと、時間短縮で満足しているマネジャーの違いも、突き詰めればその「あること」に集約されます。