第46回衆院選では自民党が圧勝。公明党と合わせて定数の3分の2強を確保した。株式市場では新政権発足後も「安倍トレード」が続くかどうか、実行力が問われる段階に入る。ただし、「円安ドル高」については、国内環境の如何にかかわらず進展する可能性が高いだろう。米国側の環境が大きく変化しつつあるからだ。
12月12日、FRB(米連邦準備制度理事会)はQE3(量的緩和第3弾)の拡大を決めた。月間400億ドルペースのMBS(住宅ローン担保証券)購入に加え、米長期国債も同450億ドル購入する。合わせて850億ドルペースへ引き上げるというものだ。
この政策により、FRBのバランスシートは再び大きく拡大しよう。巷で「ヘリコプター・ベン」とも揶揄されるベン・バーナンキFRB議長が、ドルばらまき政策を一段と強化したことになる。これまで通りなら、円高ドル安へと巻き戻しが生じてもおかしくない。しかし、実際には円安ドル高が続いている。なぜだろうか。
まず、米国の追加金融緩和は、これで最後だとみられる点である。米国経済は緩やかながらも成長を続け、雇用環境も徐々に改善している。住宅市場も本格回復へ向かおうとしている。今回の緩和は、あくまで「財政の崖」懸念による下振れを予防するためで、本来なら必要ないくらいだろう。
次に、事実上のゼロ金利政策を「失業率が6.5%程度へ低下するまで」続けると、FRBが表明した点である。これまでは「少なくとも2015年半ばまで」続けると表現してきた。バーナンキ議長は失業率が6.5%を下回るのは15年半ばごろと見込んでおり、ゼロ金利解除の目標時期を変更したわけではないと説明している。
しかし、マーケットの受け止め方は違ったようだ。「少なくとも……まで」という表現からは先延ばしの可能性が感じ取れるのに対し、具体的に失業率を明示したからには、その水準を達成した際に逃げようがない。それどころか住宅市場の回復スピード次第では、失業率達成がFRBの予想より前倒しになるかもしれない。