ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大特別教授の天野浩氏ノーベル物理学賞を受賞した名古屋大特別教授の天野浩氏 Photo:JIJI

文武を代表する
2人の卒業生

 徳川家康が17年間を過ごし、天下統一の足がかりとした静岡県の浜松。現在では自動車や楽器など、日本有数の商工業都市になっている。そして、「ものづくりのまち」を象徴するような卒業生を多数、送り出している。

「文」と「武」を代表する卒業生を、まずは挙げてみよう。

「世紀の発明」と称賛される青色発光ダイオード(LED)開発者の一人である名古屋大特別教授の天野浩がOBだ。2014年にノーベル物理学賞を受賞した。天野の師である名城大終身教授の赤崎勇(旧制鹿児島県立第二鹿児島中学・現甲南高校卒、2021年4月死去)、米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の中村修二(愛媛県立大洲高校卒)との共同受賞だった。

 光の三原色の一つである青色LEDの開発は困難を極めていたが、1990年前後に名古屋大工学部電子工学科の大学院生・助手だった天野は、赤崎教授らとともにその開発基礎技術の確立に成功した。中村がその実用化に道筋をつけた。

 青色LEDは、携帯電話の画面や信号機などに幅広く応用されている。天野の仕事はまさに、「ものづくりのまち」を具現化したといえよう。

 天野は、はにかみ屋で少しもエラぶらないタイプ。妻の香寿美(島根県立浜田高校卒)は語学に堪能で、ロシアで日本語教師をしている。夫妻そろっての記者会見では、おどけた調子で記者の質問に答え、好感度が高まった。