貯蓄型保険、一時払いの外貨建て終身保険に
加入者のメリットはほとんどない!

 次に生命保険に関する質問について答えていきます。生命保険の営業やファイナンシャルプランナーに貯蓄型保険、一時払いの外貨建て終身保険を勧められたという記載があります。

 しかし、両保険とも保険を販売している人は手に入る手数料が高くて旨みがありますが、加入するMさんにはメリットはほとんどありません。加入しない方が良いでしょう。

 そもそも、相続税の非課税メリットは今考える必要はありません。Mさんが歳を重ねて将来子どもに資産を残してあげようと思ったときに考えればよいことです。

 死亡保険は、子どもの教育費と家族の生活費を保有する金融資産で賄うことができるなら必要ありません。「安易な考えですか?」と書かれていますが、そんなことはありません。そもそも、生命保険などの保障は保有する金融資産でカバーすることが出来ない費用を賄うために加入するものです。

 Mさんは8000万円もの多額の金融資産を保有していますが、マンションを一括で購入するとその額は大幅に減ります。購入するマンション価格で残る金融資産額は異なりますが、希望している子どもの進学プランは全て公立とのことなので、多額の死亡保障を得る必要はないでしょう。

 万が一、夫が亡くなった後、Mさんがフルタイムで働く意思があるのであれば、死亡保障を確保する必要はないと思います。加入するとしても、子どもが小さいときに死亡保険金1000万円、保障期間10年くらいの定期保険で充分だと思います。これなら、保険料は月2000円以内で収まるはずです。

 また、医療保険もご主人は勤務先の高額療養費制度の限度額が2万5000円とのことなので、加入する必要はないでしょう。差額ベット代などの費用は貯蓄で賄うと認識しておけば大丈夫だと思います。Mさんご本人も死亡保障、医療保険共に加入する必要はありません。不安であれば都道府県民共済辺りに加入すれば充分です。費用は月2000円程度です。

 夫のがん保険についてもみていきましょう。夫が現在の勤務先にいる限り医療費は高額療養費制度限度額の月2万5000円で済むのですから、一般的なケースであればがんになっても多額の医療費はかからないはずです。

 夫の父親に既往症があり、がんのリスクが高いとお考えなのかもしれませんが、食事を含めた生活習慣をきちんと管理すれば、何もしないケースよりもがんのリスクを抑えられるはずです。また、高額療養費制度以上の金額がかかっても、保有する金融資産で賄えるならがん保険も加入しなくてもよいでしょう。

 マンションを購入すると金融資産は減少しますが、Mさんには資産形成を行う時間がたくさんあります。住宅を購入した後も数千万円の金融資産は残るでしょうから、なおさらがん保険に加入する必要はないと思います。もし不安で仕方がないのであれば、保険料が最も安い掛け捨てのがん保険に加入するとよいでしょう。 

次回、後編は「資産形成」を中心にご相談に答えていきたいと思います。

 (ファイナンシャルプランナー 深野康彦)