お客さまと同じ言葉を使ってあげれば、何となく親近感がわきます。好ましい人だと思ってもらえます。ところが、違う言葉を使うと、「なんとなく肌が合わない」と感じさせてしまうのです。

 この原理は、ビジネスシーンでもさまざまに活用できるでしょう。

 もし取引先の人や、クライアントが、「これ、アサップ(ASAP)で」と言ってきたら、自分も同じように「はい、アサップですね」と答えるのが正解です。「これ、“なるはや”で」と言ってきたら、「はい、“なるはや”で仕上げます」と答えるのが正解です。ちなみに、アサップも、なるはやも、「できるだけ早く」の意味です。

 会話をするときにも、メールで文章を書くときにも、基本的には相手が使っている用語を、そのまま使いましょう。普段、自分が使っていない言葉ですと、違和感を覚えるかもしれませんが、それでも言い換えなどはしないほうがいいでしょう。

ギスギスした人間関係が一変する“ある行動”

 お客さまがまったく愛想を見せてくれないとか、冷淡な態度をとってくるとか、そういうことに悩んでいるのなら、それはお客さまや、自分が扱っている商品やサービスが悪いのではなく、「自分の表情や態度が悪いのかも?」と考えなければなりません。

 もしこちらが先に、にこやかな笑顔を見せるのであれば、お客さまのほうもそんなにつれない態度はとれなくなるでしょう。なぜなら、“笑顔には感染効果”があるからです。こちらが微笑んでいれば、相手もつられて微笑んでくれるのです。

 ここで、面白い実験結果を紹介します。

 米国ボーリンググリーン州立大学のパトリシア・バーガーは、20組のペアのアシスタントをコーヒーショップに送り込んで、レジがよく見える席をとるように指示して、店員とお客さまのやりとりを観察させてみました。