グーグルに「働きがい」を高めるカルチャーが根付いた背景社員の「働きがい」が高いといわれるグーグル。その働き方の根底に流れる理念を探ってみよう

「この会社に3年いるだけでも、日本企業の10年くらいの濃密な体験ができる」――。OpenWorkが実施した『社員が選ぶ「働きがいのある企業ランキング2022」』で1位となったグーグル合同会社(日本法人)の社員クチコミには、このような意見が見られた。なぜグーグルの「働きがい」は高いのか。同社の取り組みを詳しく聞いた。(取材・文/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部副編集長 小尾拓也)

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社内に根付く理念とは

 グーグルは、言わずと知れた世界的なインターネットサービス企業だ。設立から二十数年と歴史は浅いが、米国の主要なIT企業の一つに数えられ、検索エンジンでは世界を牽引する存在へと成長した。その「働き方」は今まで多くのメディアで紹介されてきた。今回はグーグル合同会社(日本法人)の取り組みを参考にしながら、同社の「働き方」の根底に流れる理念を探ってみよう。

 多様性、公平性、個の尊重――。グーグルの「働き方」に関するカルチャーや制度を俯瞰したとき、今企業社会で話題になっている旬のキーワードが、いくつも浮かんでくる。日本でも多くの企業が働き方改革において目指している理念だが、それを社内に根付かせるのは口で言うほど簡単なことではない。しかし、グーグルではそうした文化が根付いているという。

 理由は「イノベーションを生み続けるための組織文化のフィロソフィーを大事にし、徹底して実践しているから」(人事本部長の谷本美穂氏)である。

 グーグルはもともと、米スタンフォード大学の博士課程に在籍していた2人の学生によって起業された。「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにする」というのが創業当初からの理念。それは現在でもグーグルの経営理念(ミッション・ステートメント)となっている。

 企業の生い立ち自体が、素晴らしい技術者が集まり世の中を圧倒させるようなイノベーションを生むことから始まっているため、その多様な強みを持った開発者や社員たちが、いかに自由な発想で伸び伸びと仕事をできるかも、同等に重視されてきた。そうしたカルチャーに共感する人々が集まることにより、多様性や公平性を持った働き方が根付いてきたのだ。

 外資系だけあって成果主義は徹底しているが、個を尊重する社風や豊富なチャレンジの機会が社員の「働きがい」を生み、高いハードルを突破する原動力となって企業の成長に繋がっていくという、好循環が生まれているのだろう。

 グーグルでは、社員の「働きがい」を醸成するため、具体的にどんな取り組みが行われているのか。