グーグルに「働きがい」を高めるカルチャーが根付いた背景カフェテリアの様子

 グーグルといえば、社員の働きやすさをサポートするための福利厚生が非常に充実していることで知られる。米国では「全社員がランチを無料で食べられる」「リフレッシュのためにトレーニングジムが設けられている」といった事例が有名だが、日本法人もカフェテラスを無料で利用できるなど、ワールドワイドで同等の充実した取り組みが行われている。

 特に手厚いのが、仕事とプライベートの両立支援だ。育休からの女性社員の復帰率はほぼ100%。男性社員が3〜4カ月の長期育休をとることも珍しくないという。

コロナ後にハイブリッドな
働き方を推奨したい理由

 コロナ禍をきっかけに本格的に普及したリモートワークについても、もともとフレキシブルな働き方に取り組んできた同社にとって、「100%在宅」の実現は難しいことではなかったという。ただし、それを必ずしも全面的に推奨しているわけではない。「本来大事なのは、オフィスにせよ自宅にせよ、働き方を自分自身で選択できること。また、皆で一緒に働くときに生まれるコミュニケーションは、職場の円滑化には欠かせない」(谷本氏)からだ。

 同社ではコロナ禍が収束したら、「週3オフィス・週2リモート」のハイブリッドなワークスタイルを推奨したいという。デジタルの最先端を走る企業の考え方としては意外かもしれないが、これも「人」を重視するポリシーの表れなのだろう。

 グーグルのスンダー・ピチャイCEOは、社内バーチャルミーティングを隔週で開催し、全世界の社員に向けて語りかけを続けている。また、社員から経営陣に向けた質問をオープンに募集して、その場でリアルタイムに回答している。経営トップと社員との垣根を設けない「対話」が、多様性、公平性、個の尊重といった企業理念を脈々と語り継ぐ原動力となっている。

「新たなチャレンジを目指して会社を巣立っていく人はいるが、グーグルのカルチャーが合わずに辞めた人を見たことがない」(谷本氏)という言葉は、他の企業ではなかなか聞くことのないものだろう。