仕事で上海に住む日本人の男性は、自宅マンションが封鎖されて8日がたつが、いまだに封鎖が解除されないと話す。

中国・上海PCR検査を待つ人々の行列 写真:筆者の友人提供

「このマンション内では感染者がいないため本来であれば48時間単位で封鎖解除となるはず。しかし、(小区よりも広い)コミュニティー単位での管理となってしまったため、この地区内のどこかの小区で感染者が数人出たら他の問題ない小区でも封鎖継続という厳しい政策が取られている。正直、感染者が出て自分がクビになるのが怖い役人が、いたずらに時間を引き延ばして意味のないPCR検査を繰り返している感じがする」

 中国最大のSNS、ウィーチャット(WeChat)上では、現地の人たちの間で「封鎖」がキーワードとなっており、現地の状況や情報が公開、交換されている。

「うちの両親はもう85歳なのに、夜中2時に職員に起こされてPCR検査に連れて行かれた。雨が降っているし、寒くて震えた……」

「先ほど封鎖解除となったが、3時間もたってないうちに再び封鎖された。混乱している」

 また、封鎖によって外に出られないことで、急病を患った人や、抗がん剤治療が必要ながん患者にも支障が出始めているという。

日本のコロナ陽性者への支援に
「うらやましい」の声も

 先述の通り、上海はこれまでコロナ対策の「優等生」だった。他の都市では、数人の感染者が出ただけで、街ごとに数百万人から千万人単位で「全員PCR検査」を実施しているが、上海は一度も全員PCR検査をしたことがない。上海市政府はあくまでも市民の生活に影響を与えないように、「精準防控」(ピンポイントで感染の拡大を防止する)に努めてきた。ゆえに、今回の「実質上のロックダウン」には衝撃が大きい。

 上海にいる友人の一人が次のように嘆く。

「まるで2年前(武漢がロックダウンされたとき)に戻ったようだ。人口2500万人の都市には人影も車もない。スーパーはガラガラ。店のシャッターが固く閉まって、まさにゴーストタウン――。2年前はみんなが自粛して外出しなかったが、今回は違う。強制的に封鎖されている。コロナ禍になってもう2年たったのに、何も変わっていない」