東芝を2分割する再編案が3月24日の臨時株主総会で否決された。東芝はこの再編案で、半導体事業の分離や、エレベーター事業の売却益を原資とした株主還元を行い、物言う株主(アクティビスト)らの理解を得て成長を目指していたが、戦略の練り直しを迫られることになった。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
アクティビスト推薦の取締役が造反
東芝は「最後のチャンス」逸する
2015年の不正会計発覚後、東芝の混乱は「東芝劇場」などとやゆされてきた。だが、同社の現状には、もはや“見せ物”として堪えられないほどグダグダ感が漂っている。
経営の混乱の象徴として語り継がれることになりそうなのが、3月24日の臨時株主総会だ。
綱川智取締役会議長(前社長)が「東芝が変わるための最後のチャンス」「株主にとってベストと信じている」とまで言っていた2社分割案が過半数の賛成を得られず否決されたのだ。
上位3社の大株主、エフィッシモ・キャピタル・マネジメント(以下、エフィッシモ)、3Dインベストメント・パートナーズ(同3D)、ファラロン・キャピタル・マネジメント(同ファラロン)がそろって反対に回った。
同時に、3Dが提案していた、東芝の非公開化(上場廃止して構造改革を行う案)の再検討を含めた戦略の見直しを求める議案も否決された。
綱川氏はかねて2社分割案か非公開化の「二者択一」と語っていたが、両方の選択肢が株主から否定されたことになる。この結果を受け、24日の東芝株価は一時前日比5.1%安の4542円まで売り込まれた(ただし、同日終値は4761円とほぼ前日並みまで戻した)。
次ページでは、なぜ2社分割案が否決されたのか、そして脱出困難な“迷宮入り”した再編劇の内幕に迫る。