地政学で見るロシア、露骨な領土拡張の狙いは「帝国の復権」?Photo:PIXTA

国際情勢を見るのに、地政学の視点は欠かせない。地理・世界史・民族。これら3枚のレンズを通すと、各国固有の事情が浮かび上がってくるのだ。本連載『ウクライナ危機の本質がわかる「地政学」超入門』では、最近再び脚光を浴びている地政学の基本や、地政学の観点から見えてくる各国ならではの事情をお届けする。今回は、ロシアならではの「地政学的事情」を、同国の地理や歴史とともに紹介しよう。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

ロシア帝国時代から続く南下政策
周辺国には脅威に

 旧ソ連、あるいはそれ以前のロシア帝国の時代から、ロシアの対外政策は、凍らない港(不凍港)を求めて南下することを大きな目的としていた。

 これは、ユーラシア大陸の北に位置するロシアにとっては当然の行動原理だ。一方、国境を接する国々にとっては「いかにして阻止するか」が重大な問題となる。

 旧ソ連は強大な軍事力を背景に領土拡張を続けたが、冷戦終結によりこの動きは止まる。

 ロシアが超大国から転落していく様と現在の状況が、年表と統計データからもお分かりいただけるのではないだろうか(下図参照)。

 次ページでは、ソ連崩壊後のロシアを地政学観点から見ていく。次ページの地図を見れば、プーチンが進める政策の意図が見えてくるはずだ。