ロシア産ガス、岸田首相の地元にとっても大問題Photo:Pool/gettyimages

【東京】ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な危機は、日本の岸田文雄首相の地元の危機でもある。広島県の岸田氏の選挙区民が、夕食の支度などでロシア産ガスを頼りにしているからだ。

 日本と欧州諸国は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ戦争開始後に実施した対ロ制裁措置の対象から、同国産天然ガス・石油を除外した。これにより、プーチン氏の主要な外貨収入源が維持されている。岸田氏は、突然供給が断たれれば、日本のエネルギー安全保障が危機にさらされると主張する。

 岸田氏の選挙区がある広島県は、ロシア産エネルギーの供給が断たれた場合、特に深刻な影響を受ける。広島ガスが供給するガスの約半分はロシア産で占められている。日本の他地域と比べて、この割合は非常に大きい。

 ロシアと世界経済の間にはさまざまな結び付きがあるため、民主主義諸国の指導者が自国への悪影響を避けつつ、プーチン氏のウクライナ侵攻を罰することがいかに難しいか――広島のケースはその一例だ。ドイツのオラフ・ショルツ首相は、ロシア産エネルギーの輸入契約について、当面破棄するつもりがないことを明らかにした。契約を破棄すれば、欧州全体がリセッション(景気後退)に陥る恐れがあるというのがその理由だ。