新たな生物種はどのようにして生まれるか?

 進化は、生物が遺伝子的に変化していくプロセスである。今日の地球上に多様な生物が棲んでいるのは、進化のおかげだ。1つの集団に属する各個体は、多様性、つまり遺伝子の違いを持っている。多様性がその生物種に有利に作用することを、適応という。

 環境により適応した形質は、その生物種に有利に働く。たとえば鳥の骨は中空になっていて、それが身体を軽くして飛ぶのに役立っている。遺伝子の変化が大きいと、共通祖先から何世代もかけていくつもの生物種に分かれることもある。

多様性:1つの生物種に属する個体どうしでの遺伝子の違い
適応:環境によりふさわしい多様性を受け継ぐこと
共通祖先:生物学的に共通の祖先

 遺伝子の変異はつねに起こっており、DNAが変化して新たな形質を生み出している。多くの場合、DNAの変異はその個体に有害で、生存確率を下げる。しかしたまに、生存と繁殖の確率を上げるような変異が起こることがある。そのようにして適応した個体が、長い歳月をかけて別の生物種になっていくこともある。

 山や川や海などの地理的特徴によって、集団の一部が切り離されることがある。そのようにして隔離された集団は、新たな環境の中で、もとの集団とは異なる遺伝的変異と多様性を獲得するかもしれない。そうして何世代も経つと、残りの集団(祖先たち)とはまったく違う姿になって、もとの集団とは交配できない新たな生物種になるかもしれない。

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 集団内の特定の個体だけを交配させることで、新たな生物種、または品種を作り出すことができる。たとえば、さまざまな体色のイヌの集団から黒いイヌの品種を作りたければ、黒いイヌどうしだけを交配させて、黒以外の体色のアレルを根絶させればいい。

 人類は選択交配によって何百ものイヌの品種を作ってきた。それ以外の多くの動物や植物、とくに作物にも、選択交配は幅広く用いられている。選択交配は自然選択に似ているが、自然でなく人間が選択をおこなう。

(本原稿は、『アメリカの中学生が学んでいる14歳からの科学』から一部を編集・抜粋したものです)