以前から、社員の働き方が注目されてきたソニーグループ。OpenWorkが実施した『社員が選ぶ「働きがいのある企業ランキング2022」』では、8位にランクインした。同社の働き方が先進的といわれる理由は何だろうか。具体的な取り組みと、就活生が心得たい採用の基本精神を聞いた。(取材・文/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部 副編集長 小尾拓也)

創業当初から根付いている
「個」や「多様性」を重視する文化

ソニーが社員の「働きがい最大化」を目指す、独自の実力主義創立当初から「個」や「多様性」を重視するカルチャーが根付いていたというソニーグループ。どんな取り組みが行われているのか

 ソニーグループ(以下、ソニー)には、創立当初から「個」や「多様性」を重視するカルチャーが根付いていたという。それが会社を成長させる原動力と捉えられてきた。「経営は人ありき。強い企業理念は人を大切にしているからこそ、現場に浸透している」と同社採用部の吉沢友美氏は語る。

 実際にソニーでは、人材戦略を考える上で、社員の「個」や「多様性」を重視した制度が幅広く導入されている。日本企業で「働き方改革」への機運が高まっているが、ソニーではかなり前から、独自の経営理念として社員の「働きがい」を高める取り組みを行ってきた。

 近年において、日本企業の働き方改革のお手本が外資系企業にあるとすれば、ソニーはある意味、日系と外資系のハイブリッドのような立ち位置の会社かもしれない。

 同社では、どんな取り組みが行われているのか。具体的に見てみよう。

 現場で社員の「働きがい」を高めているベースとなるのが、裁量権を最大限に尊重した2つの制度である。

 1つ目は、同社が2015年度に導入した「ジョブグレード制度」だ。これは年次によらず、「現在の役割(ジョブ)」に応じて全社員の等級が決まるというものだ。いわば役割に格付けするという形で運用されている。

 これまで日本のビジネスパーソンの働き方を守ってきた年功序列制度は、近年では成果主義・実力主義の風潮と相いれない場面も増え、若手を中心に働きがいの低下を招く要因の1つとなっている。ジョブグレード制度は、まさにその対極に位置するといえる。