ソニー志望の就活生が
知っておきたい採用の基本精神

 そんなソニーだが、親世代においても子世代においても、就職先人気企業のランキングでは上位に顔を出し続けてきた。ソニーを志望する就活生が心得ておくべきことは何だろうか。採用面についても分析しておこう。

「ソニーには年次やポジションによらず、お互いに自由に意見を言い合う風土がある。求めるのはそういうカルチャーにフィットできる人。自分のビジョンやこだわりを組織にぶつけ、活性化してほしい」(採用部の本多千夏氏)というのが採用の基本理念だ。これは基本的に、新卒・経験者の双方に対して同様だという。

 経験者はスキルをある程度は問われるが、新卒については入社後に身に付けられる能力やスキルよりも、それを習得するための気概が重視される。
 
 その精神は、新卒を対象にしたインターンシップにも見られる。インターンシップにはいくつかのコースがあるが、特徴的なのは学生が実際の現場に入り、2~4週間かけて仕事を体験する「職場密着インターン」だ。単なる「お客様」ではなく社員と同様に課題が与えられ、ミーティングにも出席して、学生ならではの目線でディスカッションを行う。コロナ禍ではフルリモートでの開催となったが、参加した学生の満足度は高かったという。

 今後のソニーでは、半導体事業など現在成長中の重点領域における採用がとりわけ重視されている。理系女性の採用拡大をはじめ、優秀な留学生や海外人材の直接採用も進めている。ソニーの人材はもともと多様性に富んでいるが、「それは採用を多様化しているというよりも、そもそも多様な人材が集まる風土があるから」(吉沢氏)。

 グローバル競争が激化する中、日本の電機メーカー各社は長い間、厳しい戦いに直面してきた。そんな中、ソニーは足もとで堅調な復活を遂げ、再び業界を牽引し始めている。ユニークな働き方の諸制度を生み出した「人ありき」の経営の真価が、今こそ問われている。