業界の慣習と逆行する「メンバーファースト経営」を掲げて社内改革を行った結果、まだ道半ばではあるものの、「働きがいのある会社ランキング」に自社が顔を出すまでになったDTC。現在社内では、どのような取り組みが行われているのか。具体的に見てみよう。
現場で最も気を配っていることのひとつが、社員の裁量権の尊重だ。社員は入社すると、「Boot Camp」(ブートキャンプ)という3カ月の新人研修の中で、自己表現を習慣づけるためのトレーニングを徹底的に受ける。
1人1人がクライアントを持ち、経営課題に対応しなくてはならないため、コンサルの業務における裁量範囲はもともと広い。前述のように、周囲の顔色をうかがってばかりでは顧客満足度を向上させる仕事はできない。そのため、社員が自主性を持って自らアイデアやビジネスプランを提示しやすい環境をつくることは、会社の責任だという認識がある。
減点主義からの脱却を重視
複数の上司による多面評価も
人事制度の工夫も、最も重要な取り組みの1つだ。「多面的な評価」と「減点主義からの脱却」の2つがポイントとなる。
多面的な評価については、すでに人事制度に根付いている。社員が期初に立てる目標は、自分の直属の上司だけでなく、普段チームとして関わることが多い他部門の上司らの意見も交えて設定される。社員の評価が特定の評価者の思い込みに左右されないよう、透明性・納得性を高めるためだ。
また上司が部下に対して、可能なら週次で、少なくとも月次でパフォーマンスをフィードバックする「チェックイン」という機会を設けている。評価面談時に評価者と被評価者の間にコンフリクトが生じないよう、評価に対する意思疎通を常日頃から図れるようにするのが目的だ。こちらも直属の上司だけでなく、他部門の上司らを交えて行われる。
このような制度下で1人のマネジャーが関わる評価はかなり多く、役職にもよるが、多い場合では50~100人にも上るという。
さらに実際の評価では、定量的な成果ばかりでなくプロセスや努力の過程も重視される。「多面性」の一環として、部下から上司に対する評価も行われている。