自分の成長を喜んでもらう構造をつくる
――紹介してもらうときに意識していることはありますか
鶴岡 周りの人と利害関係を一致させていくのも大事だと思っています。
僕が家入さんに協力してもらうメリットを、家入さんにもつくるとか。サイバーエージェントの藤田晋さんに協力してもらうメリットを藤田さんにもつくるとか。
全員の利害関係が一致していないとスピード感を持って向上していけないと思います。
だから、株主さんにもお世話になっている先輩たちに入ってもらったりしました。
利害を一致させながら、「僕の成長を喜んでくれる構造」をどうつくるかというのは、すごく頑張って考えました。
やっぱり、どういうコミュニティにいるかが大事ですよね。周りに人がいないことの方が多いわけじゃないですか。
平尾 コミュニティを広げる力がすごいですよね。家入さんと繋がったとしても、そこで止まってしまう人もいると思うので。
鶴岡 いやいや、結果論ですけどね。
平尾 鶴岡さんは、やっぱり「自分らしさ」の方だなと私は思います。ECを民主化していこうねという思いがあって、売り上げだけでなく、ビジョンとかパーパスを大事にされている方なので。
もともと情熱的で「自分らしいやり方」が大きいけれど、学生起業で「別のやり方」から入って行き、「優れたやり方」は先輩のコミュニティに入ることでショートカットできた。それで別解を実現されたのかなと思います。
本当にすごい起業家だなと思います。
鶴岡 ありがとうございます。
――別解を実現する「実現力」についてもお話を聞かせてください。
鶴岡 「実現力」は本当に大変ですよね。平尾さんはどんどん会社を大きくして、再現性があるじゃないですか。その実現力が知りたいです。
平尾 鶴岡さんの「褒め力」ですね。(笑)
鶴岡 褒めるなんておこがましいですよ。
再現性を持って実行するって本当に難しいですよね。BASEはほとんど1つのことしかしていないので、ラッキーパンチじゃないかという怖さも、実はあるんですよ。
でも「じげん」って再現性を持って事業をつくっているじゃないですか。
平尾 基本的には「マーケットに依存しない」というところからスタートしたのがじげんのビジネスなので、後からマーケットを足していくことができます。汎用性があるサービスです。参入するところを選ぶとTAM(Total Addressable Market 実現可能な最大の市場規模)が増えていく。
市場への接続性を意識しています。
株式会社じげん代表取締役社長執行役員 CEO
1982年生まれ。2005年慶應義塾大学環境情報学部卒業。東京都中小企業振興公社主催、学生起業家選手権で優秀賞受賞。大学在学中に2社を創業し、1社を経営したまま、2005年リクルート入社。新人として参加した新規事業コンテストNew RINGで複数入賞。インターネットマーケティング局にて、New Value Creationを受賞。
2006年じげんの前身となる企業を設立し、23歳で取締役となる。25歳で代表取締役社長に就任、27歳でMBOを経て独立。2013年30歳で東証マザーズ上場、2018年には35歳で東証一部へ市場変更。創業以来、12期連続で増収増益を達成。2021年3月期の連結売上高は125億円、従業員数は700名を超える。
2011年孫正義後継者選定プログラム:ソフトバンクアカデミア外部1期生に抜擢。2011年より9年連続で「日本テクノロジーFast50」にランキング(国内最多)。2012年より8年連続で日本における「働きがいのある会社」(Great Place to Work Institute Japan)にランキング。2013年「EY Entrepreneur Of the Year 2013 Japan」チャレンジングスピリット部門大賞受賞。2014年AERA「日本を突破する100人」に選出。2018年より2年連続で「Forbes Asia's 200 Best Under A Billion」に選出。
単著として『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』が初の著書。
実現力は自分の見つけた仮説を「解」に持っていく力なのですが、鶴岡さんは「基礎があるからできている」というインタビューも読みました。
12時に数字を毎日見るとか、その情熱。長続きするうえで「自分らしさ」が本当に大事だなと思います。
鶴岡 確かに、成功前夜でやめちゃう可能性はありますよね。